昭和62年 10月12日(月曜日)
男のファースティング(6)
終わりが始まり、と健康道場で聞かされた。成人病にならないためのライフ・スタイル(生活様式)の改善は、道場を出たその日から始まるということである。
帰宅してから40日余り。▽体重測定▽食品のカロリー計算▽中国式健康体操‐などは毎日実行している。カロリーは、就寝前、その日に食べたすべてについて80カロリーごとの「単位」でノートにつける。定食類なども、大体、単位数がわかるようになった。
先日、家でミニ・ファースティングというのをやった。土曜日の夕方からまる1日、牛乳3本とくだもの少々、それに水(または番茶)でがまん、その後の食事も2回ほどは少なめにする。
さて、体重の経過だが、別表でおわかりのように、入門時に70.5キロあったのが、退所までに4.4キロ、帰宅してからさらに2キロ減らし、現在64キロ前後。尿酸値も退所時の正常値を維持、心身ともそう快である。
いいことずくめではない。ヘソ下に力を入れながら精神を統一する丹田数息呼吸法は、通勤電車の中でどこでもできるといわれていたが、まだやれないでいる。それに、やせたはいいが、ウエストが12aも縮まり全部直しに出さねばならない。ものいりである。
体重経過表や食事カロリーなどを道場に送り、道場長の笹田信五医師(39)の紙上診断″をあおいだ。すぐに送られてきたのを見ると、カロリーの計算ミスまでていねいに訂正し、エネルギーや各栄養素分の充足率をコンピューターで算出してくれていた。そして、次のような先生の「所見」が同封されていた。
<体重については大変なライフ・スタイルの改善を実現されました。その間の食事の内容は1600ー1700iとかなりの低カロリーにもかかわらず、たんぱく質、カルシウム、ビタミン類など必要量を充足しており、あなたの食事は100点満点。いままではお酒がカロリー過剰の主な原因だったのではないかと思います。ただ、これからは、現状の体重を維持するという方向に考えを変え、運動を取り入れて体力の増進をはかり、半年あるいは1年間、このライフ・スタイルを完全に身につけられた後に、さらに減量を進めるという考え方がよいと思われます。>
飽食の時代といわれて久しい。モノが豊かになったのはいいが、われわれは、心もセルフコントロールのできない飽食状態してしまっているのではないか。だから、ライフスタイルを改善できないまま、成人病への道を歩むことになる。ここらで、そういう自分と向き合ってみようー健康道場はそんな心の減量″のきっかけをつくってくれた。6キロの減量よりもこちらの方が大きかったと思っている。
笹田先生にお礼の電話をすると「みなさんにこんなチェックを年2〜3回はさせてほしいものです」といわれた。そのみなさん、道場の仲間たちのアフターケアはどうなんだろう。
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