◆バラバラさん
(表面的な特徴)
W型です。このタイプの方はA(きびしい親)が高いので、人を見ると欠点がよく見えイライラします。さらにE(人の評価を気にする子供)が高いので、人からどのような評価をされているか気になります。
人をみてイライラし、その人から自分がどう思われたかを考えて不安になる。頭のなかがバラバラになります。それでこのタイプの方を「バラバラさん」といいます。
外から見ると大変おとなしい人で、心の中で葛藤や分裂があるようにはとても見えません。特に、初めての場所や慣れない環境のときは、おとなしい、あまり発言しないという傾向は強くでます。だからといって、何をいっても、何をしても大丈夫だと勘違いすると大変です。
我慢をしている人ですから、限界まで我慢をします。しかし、それを越えると今までの怒りや恨みが一挙に吹き出し、突然辞表や離婚届けがでてくるというようなことになります。
あるいは、自分の家のように安心できる所では、わがままや激しい攻撃がでて、家と外では大違いということもあるでしょう。
(対人・対自分関係)
A(きびしい親)が高くB(優しい親)が低いから、「あなたは間違っている」、D(自由気ままな子供)が低くE(人の評価を気にする子供)が高いから、「私は間違っているかもしれない」。だから「私も正しくはないが、あなただって間違っている」です。
(自滅のシナリオ)
「バラバラさん」は非常に分かりにくいタイプですが、自滅のシナリオで見れば理解も容易です。「バラバラさん」は、E(不安)さんです。だから、充実感を失えば「E(自己防衛)にいかに成功するか」ということが、すべての考えや行動の最も重要な動機になります
普通に考えれば、自己防衛に成功するためには、人から良い評価をもらうことが必要です。社会の中で、自分を守るのですから、人から悪い評価では孤立し、自分を守れません。
良い評価を得るために、社会のため、会社のため、家族のために尽くさなければなりません。結局誰かのために働くことになりますが、その人が素晴らしいとか、大好きだと思えれば、尽くすことが喜びとなり、矛盾はありません。そして、(不安)もなくなります。これが、「ボロぞうきんさん」でした。
しかし、「バラバラさん」の自己防衛の方法は、A(きびしい親)ですることになります。つまり、(警戒)ということです。
「人を信じてはなりません。だまされますよ」、「人から後ろ指を指されてはなりません。軽蔑されますよ」という親からのメッセージがA(きびしい親)に入っているのでしょう。
だから、良い評価を得ようとして、大勢の人の中で頑張ろうとしても、敵地にいるような感じです。(不安)が強くなり、(警戒)して身がまえます。身体がカチカチになります。早く自分の殻のなかに戻りたい。しかし、戻っても、ますます孤立するだけで解決はありません。
E(不安)の解決策として、(警戒)は逆効果ですね。(警戒)すればするほど孤立します。社会のなかで孤立すれば、ますます(不安)になるだけです。(不安)になるからさらに(警戒)する。これは自滅のシナリオです。相手の長所から見る「ボロぞうきんさん」との違いです。
また、「バラバラさん」は、A(きびしい親)が高いため、人の欠点から目に入ります。(警戒)もしなければなりませんが、人の欠点が見えて腹も立ちます。「どうして私に不利になるようなことを言ったりしたりするのか」、「もう少し気を使ってくれれば良いのに。私が我慢していることはわかっているはずなのに!」とか、(不安)になればなるほど、自分に不利になるようなことを、人が言ったりしたりすると感じられ腹が立ちます。
不安が強いから、人が何か言ったり、したりすることが自分に不利になるような感じが非常に強くするのです。自分を守るための鎧や兜であるプライドが傷つけられたように感じます。
しかし、それを口に出して言うことはできません。
口に出して言えば、人間関係が壊れます。それは(不安)が拡大することですから、最も避けたいことです。(不安)のために、口には出せない。それだけに、なおさら腹が立つ。頭の中で、不安と腹立ちがグルグルと回り続けます。
これでは、社会適応はできません。疑ったり、警戒したり、怒りでいらいらしていては、人間関係がうまくいくはずはありません。協調性や社交性なければ、仕事は成功しません。社会で成功しなければ、どうして自分を守れるでしょうか? 不安を解決しょうとする方法が、自分を社会から孤立させます。
さらに、D(自由気ままな子供)を押さえています。自由に自分を主張したり、行動すれば、周りの人々からの批判の目が無数の矢となって飛んでくるかもしれません。悪く思われたのではないか、評価を落としたのではないかと気になって夜も寝られないでしょう。何としても、D(自由気ままな子供)は押さえ込んでおかなければなりません。
しかし、それでは少しも自分を生きていないというD(不満)がつのります。腹が立って来ます。いつもいつも自分を押さえて生きている。これ程までに自分を犠牲にしている。この意識が悲しいまでの怒りになります。積もり積もって、我慢の限界を越えれば、知性が働かなくなり、D(不満)がA(攻撃性)と結合します。「私も悪いが、あなたも悪いじゃないか!」と、今までためていたものが一気に爆発することもあるでしょう。
一方、自分の家のように安心できるところでは、人から良い評価をもらう必要がありませんので、E(人の評価を気にする子供)が下がり、D(自由気ままな子供)が回復して「あんたが悪いさん」になることもあるでしょう。
外へ出ると(不安)が出るので、表面上は調子を合わせて人の良い「ボロぞうきんさん」を装い、家の中では「あんたが悪いさん」になるという二面性を持つこともあるでしょう。このようにして、一人の人の心が、幾重にも分裂することになります。
結局、バラバラさんは、自己防衛本能が非常に強く常に自分を守っています。それがプライドという砦です。そして、いつも攻撃されるのではという過剰防衛の状態にあります。戦闘準備状態にあります。E(不安さん)がA(きびしい親)に結合しているのが特徴です。
「バラバラさん」は、最も社会適応が難しく、本人の苦しみも大きく、とことん充実感を喪失してしまうタイプです。そして、このストレスが過食・お酒・タバコの原因になります。また、人の中にいると警戒し、身構えていなければなりませんのでいつも緊張状態で、頭痛、肩凝り、胃腸障害、不眠といった自律神経失調症の症状が出ることになります。
(充実感テストとの関係)
「バラバラさん」は、最も社会適応がうまくいかないタイプですから、若いときからエネルギーを失います。無いのではなく、自分の中で葛藤や分裂が日夜起きるために、エネルギーを失いやすいのです。充実感テストでは、「不快さん」が多いでしょうが、エネルギーを失ってしまえば、「無感動さん」にならざるを得ません。
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