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- 自分発見の方法では、本当の自分を知るために、自分分析という方法を使っていきます。
自分と言っても、自分の中にはも、いろいろな自分がいます。それを以下の表にあるように、9つの自分を見ていきます。
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- 自分分析は本当の自分を発見するための方法ですが、それはここでは到底無理ですので、ここではごく初歩的な当てはめをやってみましょう。
ご飯のために社会適応する自分(O)、愛や評価を貰うために良い子になる自分(N)、快楽したい自分(T)、W(自由気ままに生きたい我がままな自分)、K(人に自分の存在価値を認めさせようとする自分、ブライドの自分)、笑顔を見たい自分(S)、ふとした優しさの自分です。
ふとした優しさの自分については、聞き慣れない言葉だと思いますが、生かされてる医学ではとても大事なものです。
- それでは、実際の当てはめをやってみましょう。
主婦のA子さんです。
最近、イライラとすることが多くなりました。
O(ご飯を得るために、自分を抑えて、社会適応する自分)・・・夫は、特に問題も無く会社に勤めています。人並みには、出世もしていますので、生活の不安はありません。Oは、満たされています。
T(快楽したい自分)・・・適当に美味しいものも食べられています。特に、不満はありません。
N(評価や優しさが欲しい自分)・・・家事をやっていても、夫や子供達からは、当たり前という感じて、感謝をしてもらえません。これは、淋しいです。Nは満たされていません。
W(自由気ままに生きたい自分)・・・結婚の初めから、自由気ままに生きたい気持ちは、あまりありません。むしろ、安定した家庭でありたいと思ってきましたから、Wの問題ではありません。
K(自分の存在価値を、人に認めさそうとする自分)・・・いつも、夫や子供たちから、軽視されているように感じます。私の存在価値って、何なのかと思ってしまいます。私は、お手伝いさんでも、召使でもないのです。これには、腹が立ちます。
S(人の笑顔を見るのが嬉しい自分)・・・夫や子供たちの笑顔を見るのは嬉しいですが、軽視されているのではないかと思うと、ムカムカします。瞬間、Sかもしれませんが、すぐに消えてしまいます。Sは、別に欲しくありません。
当てはめてみると、A子さんは、NとKが満たされていないと言うことになります。
評価や優しさがもらえなくて、淋しいのであれば、もっと、優しく親切にすれば良いのです。自分を捨てて、夫や子供に、つくせば良いのです。
しかし、それは、Kが許しません。プライドが許しません。
Kを満たそうとするなら、我慢をしないで、強く出たり、自分を主張すれば良いのです。しかし、それをすれば、嫌われて、孤立と孤独になるので、怖いです。孤立と孤独になるのが怖ければ、おとなしく、Nをすれば良いのです。評価と優しさがもらえます。
しかし、それでは、プライドが傷つきます。私のことを何と思っているのか、そう言いたくなります。
しかし、それを言えば、孤立と孤独になります。それは、嫌だから、Nをすればと思うのですが、プライドが許しません。
この繰り返しが、延々と続きます。
どうにもできなくて、イライラします。
KとNとの葛藤は、新型ストレスです。
A子さんのイライラは、この新型ストレスの葛藤から来るものではないかということが、当てはめから見えてきます。
新型ストレスだということが理解できたら、その解決のためには、自分発見の心身医学が必要だということもお分かりになるでしょう。
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- 次の当てはめは、B子さんです。
結婚する予定で、相手の方は、大きな会社に勤めておられ、優しい良い方です。B子さんの心は、どう動くのでしょうか。
Oが満たされる・・・大きな会社です。正社員です。給料が高いから、ご飯の心配はありません。将来、出世もされるでしょうから、さらに、給料は上がり、退職金、年金も確実でする。安心できます。嬉しいです。
Tが満たされる・・・年次休暇はたくさんある。ハワイに行って、泳いだり、美味しいものが食べられます。性的な欲求も満たされるでしょう。嬉しいです。
Nが満たされる・・・大きな会社ですから、世間体は、すこぶるよろしいです。世間から良い評価がもらえ、親や家族からも、愛と優しさがもらえるので、嬉しいです。
Wが満たされる・・・親からいつも縛られて自由が無かったので、実家を出て独立できます。もう親から縛られなくて良いので、嬉しいです。
Kが満たされる・・・高校時代に、自分よりきれいで、成績も良くて馬鹿にしていた同級生たちのご主人は、小さな会社です。同級生たちに勝てました。夫からも、「君は、世界で一番素晴らしい、僕の宝物だ。」、などと言われて、自分の存在価値を満喫できます。これは、溶けるほど嬉しいです。
Sが満たされる・・・夫の笑顔を見るのが嬉しい。優しい自分を感じます。ただ、これには、注意が必要です。もし、夫が、優しくしてくれなくなったら、倦怠期に入って、自分に無関心になってきたら、会社で、失敗して、昇進できなくなったら、会社が倒産して、生活が困るようになったら、その時も、笑顔を見たい、それだけで、幸せと言えるでしょうか。
人により、どれが満たされるかは、さまざまです。一つだけではなく、二つ、三つの心が、動く人もあるでしょう。全部あって、その時その時の状況で、あるものが強く出るという人もいるでしょう。
いずれにせよ、今、動いている心を当てはめていきます。どれが良いということではなくて、さまざまな自分がいることを、まず知りたいのです。
さまざまな自分の当てはめができれば、どの自分を満たすために、この結婚をしようとしているか分かります。
その自分で良いのかということと、その自分を満たすためなら、もっと他に、確実な方法があるかもしれないということと、では、自分の本心は、何なのかということを考えることが出来るようになります。
特に、結婚の場合は、取り返しがつきません。自分分析が出来て、自分の本心を知る能力がついてから、どうするか決めるのが良いと思います。
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- 次の自分分析の当てはめはM子さん、38歳の女性です。
大変仕事がよく出来る方です。一方、結婚もして子供もほしいという気持ちがあります。
最近、疲れ切って、ついに休職する状態になりました。何が問題だったのでしょうか。自分分析してみましょう。
4人兄弟の長女で、親からは、しっかりとしたお姉ちゃんであることを求められました。親は、下の子供に手がかかっていました。
親の愛が欲しい自分(N)が強くあります。
親の愛を得るには、しっかりと生きるという親の希望を果たさなくてはなりません。仕事も立派にしないといけません(K)。
ご本人は、「認めさせたいなどとは思っていません。ただ、自分の存在価値を認めてほしいだけです。」と言われます。しかし、競争社会で認めてもらうには、人よりもよい仕事をしなければなりません。本人は意識はしていなくても、存在価値を認めさせることと同じになります。これを受け身のK(PK)と呼んでいます。
結婚や子供も欲しいというのは、何でしょうか。
世間体が気になります。親の愛を得るには、世間体が大事です。そうであれば、Nです。
老後の孤独が辛いというのなら、これもNです。
老後の経済的な不安というのなら、これはOです。
性的な満足もというのならTです。
親や子供の笑顔を見たいというのなら、Sです。
KとNは、葛藤するので新型ストレスになりますが、本当にKが好きで好きでたまらないという人を見たことはありません。深く心の底を見ていけば、欲しいのは、親の愛と承認であって、Kは手段ということが殆どです。止む得ないKであり、悲しいKです。
しかし、止む得ないKであったとしても、愛と承認を貰うためには、人よりも立派な仕事をし続けなければなりません。
初めは規模も求められる水準も低いですから、どんどん進めます。しかし、段々、規模も大きくなり、水準も高くなります。うまく行かなくなります。しかし、それでもどんどんやる以外にはありません。
それ以外には、愛と承認を貰う方法を知らないからです。充実感も生命力も落ちてきて、客観性もなくなって失敗します。それでも、やるしかありません。さらに失敗しますが、それでもやるしかありません。ひどい時には、過労死やうつ病に至ります。
しかも、結婚や子供のことも考えなくてはなりません。親の愛と承認を得るには、世間体も大事なのです。自分の老後を考えると、自分にとっても欲しいものです。
しかも、親の笑顔を見たい自分もいます(S)。自分のことだけなら、まだ我慢をすればなんとかなるということもあるでしょうが、親を喜ばしてあげたい自分がいる場合は、本当に大変です。
これは、過酷です。男性の場合は、仕事さえ出来れば、家庭を守ってくれる奥さんをもらうことはそれほど難しくないでしょうが、今の日本で、仕事をする女性が、主夫を得ることは容易ではありません。
どうして良いか分からなくなります。何をしてもうまく行かなくなります。しかし、おかしなことが起こっているのではありません。自分分析で見ていけば、起こるべくして起こっていることです。
M子さんの場合も、新型ストレスだということが理解できたら、その解決のためには、自分発見の心身医学が必要だということもお分かりになるでしょう。
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